ケータイのアンテナ(基地局)を探そう 基礎編

普段使っている携帯電話で電話するとき、メールするとき、どうやって相手とつながっているんだろう。みたいなことを思ったことはありませんか。普通はありませんよね。


でも、このページを見ているということは、あなたは今そういうことを疑問に思ってググったりしてたどり着いたんだと思います。


簡単に言えば、携帯電話の電波は各携帯電話会社のアンテナに届いて、そこから有線で普通の電話みたいな仕組みで
つながっているのですが(そうやって簡単に言いますが実際はもっと複雑な仕組みです)
そのへんのお話は、Wikipedia携帯電話の項目や、基地局の項目を見ていただくとして




このページで紹介するのは、自分の携帯電話やスマートフォンが通信している相手のアンテナを
探しに行きたくなっちゃったというとてもレアな人のための基地局の探しかた講座です。

 ■注意事項

  • このページにある文章・画像を他で勝手に使うなとは言いません。どうぞご自由にお使いください。でも携帯電話会社の権利を侵害とかしてるのかも。
  • 得意げにここに書いてあることを皆に言いふらしていたら、実は間違った情報でひどい目に遭っちゃう可能性もあることにご注意ください。私も素人ですので。
  • 画像が多すぎて超重いですがご容赦ください。逆に画像クリック後「オリジナルサイズを表示」をクリックするとでかく表示されます。
  • ここに掲載されている情報などについて、携帯電話会社などに問い合わせすることはご遠慮ください
  • ここに掲載されている情報を元にアンテナを特定してぶっこわしてやろうとかはくれぐれもおやめください
  • 2012年現在で存在する携帯電話会社・サービスについて記載しています。今となってはもう古いかもしれませんよ。LTEとか。逆にツーカーセルラーの情報は載っていません。
  • 主に筆者が住んでいる愛知県内の傾向をもとに書いていますので、他のエリアではぜんぜん特徴が違うとかありえます。ご注意ください。歴史的経緯で元DDIセルラーデジタルツーカーのエリアで建設された基地局には一切当てはまらない可能性があります。
  • ほかに「このキャリアにはこんな特徴があって」などの話があればコメント欄に投稿していただけるとうれしいです!気付かなかったらゴメンナサイ。ただしお寄せいただいた画像も「勝手に使っていいよ」宣言を勝手にします。

ケータイのアンテナを探そう!

ここでは、「ケータイのアンテナ」などとひとくくりに言ってしまっていますが
「ケータイのアンテナ」というのは先程も話したとおり、めっちゃ大きく分けて2種類あって
「携帯電話機についているアンテナ」と、それの通信相手になる「携帯電話会社のアンテナ」があります。


それで、後者のことを「無線基地局」とか、略して「基地局」とかって言います。


前者のアンテナは、昔の携帯電話機では通話の時に伸ばしたり、光るアンテナに交換したりしていましたが
最近では、技術の進歩により伸ばさなくてもキチンと電波を受信できるようになったらしく
電話機の中に内蔵になっていて外からは見えないようになっています。
なお、今ちゃんと携帯電話として使えるケータイについている外に見えるアンテナは
ほぼ、ワンセグテレビ放送を受信するためのアンテナなので、通話/通信時に伸ばしても無駄です。多分。


ちょっと話が脱線しましたが、後者のアンテナ(基地局)というのは、どういうところにあるのかというと

答えは、どこにでもある

意識しないと気付きませんが、携帯電話が使えるところであれば、ちょっと探せばどこにでもあります。
だいたい、周りに何もない田んぼだらけのところでは2〜3キロメートルにひとつアンテナ
ビルが立ち並ぶ都会では数百メートルにひとつあるぐらいの勢いです。


しかも、そのアンテナは携帯電話会社ごとに存在しています。*1
みんな知ってるNTTドコモauソフトバンクのものが、それぞれ上のような間隔で日本中に存在していて
あんまり知られていないイー・モバイルウィルコムUQ WiMAXを入れたらぐっちゃぐちゃあるってことになるわけです。


ちなみにもっともっともっとマイナーな、日本通信だとかBIC WiMAX SERVICEなんていうのは
MVNOと呼ばれている仮想移動体通信事業者*2で、実際はNTTドコモUQ WiMAXの既存設備を使ってサービス展開しています。
つまり単独のアンテナは立っていません。
わかりやすく言うと、MVNOはプロバイダ部分だけやってて回線自体はドコモみたいなイメージです。イメージは。

どこにでもあるって、どこ?

では外に出て、実際にアンテナを探そうとなった時に、どんなところを見ればよいでしょうか。
だいたい今どきはこんなところにあります。


携帯電話(NTTドコモ/au/ソフトバンク/イー・モバイル)やUQ WiMAXでは、

・どこぞのビルやマンションの屋上
・その携帯電話会社が建てた鉄塔
・その携帯電話会社が建てた電柱

イメージとしてはこんな感じ。

ビルやマンションの屋上 鉄塔

全然イメージできないね。



PHS基地局ウィルコム)では、

・どこぞのビルやマンションの屋上
ウィルコムが建てた電柱

で、つまるところウィルコムの鉄塔というのは試験的に建てたもの以外ほとんどないのです。
最近ではソフトバンクの鉄塔にくっついているパターンがあるという噂を聞いたことがありますが
私は見たことがありません。

ビルやマンションの屋上 電柱(赤いチビこいの)


さて、上記のイラストでは全く理解できないとおもいますので写真をみていきましょう。

携帯電話のアンテナってどういうもの?

まずは、携帯電話のアンテナがどんなものかというと、大多数のものが以下のような形をしています。

携帯電話基地局のアンテナ1 携帯電話基地局のアンテナ2

共通して言えることは、筒型で縦長のものということです(後述しますが一部例外があります)。



そして、上のようなアンテナがビルの屋上についているのか、鉄塔をたてて頂上につけているのかの違いになります。


また、高さの高い鉄塔を建てたり、ビルの屋上にアンテナを取り付けていることも特徴です。
つまり高い位置につけて、下に向けて電波を送るようにしているということですね。
つまり、小高い丘の上というベースの上に、高い鉄塔を建てていたり
ビルの屋上とはいえアンテナをつけるときに、まわりの中で一番高いビルにつけたりということがよくあります。


ビルの屋上についている携帯電話基地局アンテナの設置例

ビルの屋上についている場合は、だいたいこんな感じでついています。
さっき書いたところですが、ビル・マンション建物の天辺の部分にアンテナをつけます。

マンションの屋上についている 2社以上の携帯電話会社のアンテナが同居
小さな事務所の上でも スーパーマーケットの屋上駐車場にて

右上の写真は小高い丘の上に建っている建物ですが、立地条件がいいのか複数社の携帯電話会社が同じようなところに
バンバンとアンテナをくっつけています。

鉄塔タイプの携帯電話基地局アンテナの設置例

ル・マンションがまわりになかったり
ちょうどいいところは他社がすでに押さえていてスペースの問題で上のように併設できないとか
田んぼが周りにたくさんあって、基地局用の土地が確保できたとかいう場合は鉄塔がたちます。


鉄塔の場合は以下のようになっています。

かなり背の低い鉄塔です 普通は40メートルぐらいの高さで作るみたい
これも背の低い部類 上の鉄塔の拡大

鉄塔は、主に周りに高いビル・マンションがないような場所でサービスエリアをカバーするときに使われます。
田んぼや畑が中心になってくるような土地、山や海岸などでよく見かけます。

コンクリート製の電柱タイプの携帯電話基地局アンテナの設置例

山間部では、上記のような鉄塔で広いエリアをカバーするようにしていることが多いですが、
電波の届きにくい一部の狭いエリアや、
住宅街でも、付近のマンションの屋上にアンテナをつけられなかった場合に
コンクリート製の電柱にアンテナをつけたタイプを置いてカバーしていることがよくあります。

住宅街 山間部

ずいぶん上のほうで「携帯電話基地局のアンテナというのは筒型で縦長なんだ!」と力説しておいて
ここでちょっと違うことを言いますが、
これらのコンクリート製の電柱にアンテナをつけたタイプでは、筒アンテナではなくて針金みたいな細いアンテナがついていることがあります。
出力が低く済むのか、なんの利点があるのかよくわかりませんがよく見かけます。オムニアンテナとかって呼ばれていますね。

変わったアンテナ1 変わったアンテナ2

ちょっと変わったアンテナ

鉄塔・ビル・コンクリート製電柱の何れでも見かけることがあるものとして、丸い筒型ではなく
カマボコタイプも存在します。縦長であることには変わりありませんが。

かまぼこタイプ1 かまぼこタイプ2

ただし筒型タイプと比べると圧倒的に少ないです。比率としては10%未満かと。
絶対数としては、ソフトバンクモバイルイー・モバイルのものでちょくちょく、NTTドコモでも極稀に見かけます。数になってねえ!

PHSのアンテナってどういうもの?

PHS簡易型携帯電話などと呼ばれていて、そのせいで携帯電話と比べて性能が悪いというイメージがついて
苦労したことがあるからなのか、最近では現在唯一PHSサービスを提供しているウィルコムは"PHSであること"をあまり前面に押し出していません。


実際のところ、PHS自体が家庭用コードレス電話の延長線上にある日本独自の規格となっていて、携帯電話とは全く異なるものです。
今は家庭用コードレス電話の子機の通信規格がPHSと互換性のないものになってきているのでダメですが
昔はコードレス電話の子機として登録することができる機種のPHSがあって、自宅では家電の子機として
コードレス電話親機からの電波が届かなくなると、PHSとして機能するタイプの機種がありました。


そして、電波が届く距離も基地局から500mぐらいしか届かず、携帯電話の基地局よりも高い密度で基地局を置局していかないと
電波の届かないエリアが大量に出てしまいます。
逆に言えば、数で勝負しているので一部が壊れても大きな影響が出ないと言われておりまして、これをマイクロセル方式と言うそうです。
ちなみに、この500m電波が届く基地局は、PHSの中でもかなり出力の高いほうだと言われていて
アステルNTTドコモPHSをやっていましたが、これらの基地局は250mぐらいしか電波が届かなかったそうです。えらいこっちゃ。


一度ぶっつぶれてソフトバンクに買収された際にも、こうした基地局が置かれている場所自体も資産として評価したらしく
ウィルコムPHS基地局がおいてあって、ソフトバンクがカバーしていなかったエリアにソフトバンクの簡易基地局が併設されるケースが
今では数多く見受けられます。(ソフトバンクに乗っ取られてウィルコムのアンテナが撤去されている箇所もあります)


話が長くなりましたが、ようはPHSと携帯電話は全く違うものなので、当然のことながらアンテナもドコモ/au/ソフトバンクのものとは
見た目からして全く違うものになっています。

アンテナ4本タイプ アンテナ8本タイプ(1本真後ろに隠れている)


そして全景は、

電柱タイプ 建物屋上にあるタイプ(上にちぃちゃく乗ってる)

携帯電話やPHSのアンテナじゃないやつ

似たような形をしているけども、携帯電話やPHSのアンテナではないものも存在します。
たとえば、タクシー無線のアンテナなんかはわりとよく似たような形をしていますね。

なんのアンテナだったか忘れたが携帯のではない 防災無線
携帯の鉄塔に見えなくもない火の見櫓

というように、基本的に4本か8本の白くて細いアンテナが上向きになっているのがウィルコムPHSのアンテナです。
一部、板チョコタイプなどの例外はありますが。

結局、自分の携帯電話とつながっているアンテナはどれなのか

ということについては、なんだかんだいってアンテナの形状だけで判別するのは非常に難しい。
ちょっと金かかってそうな鉄塔はNTTドコモだとか、曖昧な判別をすることは遠目に見ても可能だが
実際には近づいてみないと確証を得ることはできない。


鉄塔の根本にある設備やアンテナが立ってるビルの壁面には大抵携帯電話会社のマークがついたシールが貼ってあったりするので
それでおおよそ判別することは可能だが、そういう細かい話はこれから携帯電話会社別に記事を書いていこうと思うので
乞うご期待。

*1: 鉄塔を複数社で共用しているパターンも時々あるが、大抵は会社ごとに建てている

*2: MVNO仮想移動体通信事業者とはなんぞやという話については、詳しくはこれまたWikipediaを参照のこと